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生地のお話#2 織り方(平織ブロード生地)

豆知識

WRITER
渡邉直康(代表)
生地に関する豆知識2

衣類、ファブリック、その他、生地はありとあらゆるところに使われています。
人間の生活に欠かせない生地は、空気みたいなものかも知れません。
そんな生地のアレコレを、分かりやすくざっくばらんに解説!
第二話は、ブロード織りのお話です。

生地の質感を左右する要素


生地の質感って何で決まるの?
という質問だったよね。


うん。手芸屋さんで色々な生地を見ていて、ふと疑問に思ったんだ。
質問したら、前回は、綿100%の生地を前提に「生地作りの工程」を説明してくれたよね。


はい、そうでしたね。
生地質を左右する要因は色々とありますが、生地作りの工程を知っていると理解しやすいのです。


前回のお話。
生地作りって、どんな工程があるか覚えていますか?


生地作りの工程


ギクッ…いっぱいあったよね…。
最初に、綿花から取れた鼻毛みたいな糸を長さで分けたり…。


そうですね。
鼻毛みたいな糸は「綿糸」と呼ばれています。

いい生地を作るには、原料である綿花の質が大切です。
そして、採れた綿糸の長さも、生地質に影響します。


そうだった。
綿糸が長いと、しっとりしなやかな高級感のある生地になるんだったね。


それから、生地作りの工程には、漂白や染色もあったね。
10トントラックくらいあるような大きな機械で染めたりするって言ってたね。


はい。よく覚えていましたね。

生地の製造は、大まかにいうと、紡績→織→下晒(漂白)→染色です。

日本の紡績や染工技術は秀でている、というお話をしました。
当然、この製造技術も生地質を左右する要因です。


生地質に関係する要素を並べると、ざっと、こんな感じです。

今回はそのうちの「織り方」のお話をしましょう。
どのように糸を織っていくか、というお話です。


生地質に関係する要素

織り方にも色々ある


例えば、編み物を考えてみてください。
細編み、長編み、メリヤス編み、ガーター編み、ゴム編みなど、様々な編み方がありますよね。

編み方次第で、セーターやニット帽の表情がガラリと変わってきます。

織り物も同じ。
色々な織り方があって、どの織り方をするかで生地の表情が違ってくるのです。


じゃぁ質問。
「ブロード」とか「サテン」という言葉を聞いたことがあるかな?


あるある!どっちも聞いたことあるよ。

でも、ブロードってよく分からないや。

サテンは分かるよ、
テカテカした感じの生地だよね?

片手にワイングラスで、素肌にサテンのパジャマ着ているお金持ちな感じ!


(笑)。
サテンは、しなやかで艶々しているから、高級なイメージがあるのかも知れませんね。
サテンは、「朱子織」という織り方をして作られた生地です。


なるほど!
織り方が生地質に関係あるって、何となくイメージがわいてきたよ!


サテンのパジャマの威力はすごいですね(笑)。


で、朱子織ってどんな織り方なの?


そうですよね、気になりますよね。
でもその前に、平織の話をしましょう。
平織が分かると、朱子織を理解しやすくなりますよ。

平織はアップルパイ


平織?
これも織り方の一種?


はいそうです。

最初に「ブロード」と言いましたが、ブロードは「平織」という織り方をして作られた生地です。

因みに、ブロードは「ポプリン」という別の呼び方もされています。
手芸屋さんで、ポプリンって書いてあるかも知れません。


平織とは、タテ糸とヨコ糸が上下上下…と交互に組み合わされた織り方です。

アップルパイを思い浮かべてください。
アップルパイの上に、帯状のパイ生地が交互に重なって乗っていますよね。
まさにあの感じです。





アップルパイのアミアミ!
サクサクしていて、哀愁漂うあのアミアミがいいのよねぇ~食べたい♪


哀愁??
帰りにお店でアップルパイをゲットしてください(笑)。

ヨコ糸とタテ糸の比率


アップルパイの帯は、タテとヨコが等しく重なっています。

でも、平織の代表である「ブロード」はちょっと違います。
ヨコ糸とタテ糸の本数が、1:1.5~2になるように織られています。


へぇ~。
ヨコ糸よりもタテ糸の方が多く使われているんだ。
見た目では、全く分からないね。


そうですね。
繊維は細いので、ヨコ糸とタテ糸を意識できる人はいませんね。

ヨコ糸とタテ糸の違いは分からなくても、”薄っぺらい”とか”透けて後ろ側が見える”とか、薄さの違いは見た目で分かりますよね。


あ!もしかして、全体的な糸の量が関係してるんじゃない!?


その通りです。

一般的に、生地の密度を表現するのに「打ち込み本数が○○〇本」と言ったりします。
これは、1インチ四方(2.54cm四方)の中に、タテ糸とヨコ糸を合わせて何本使っているかを表すものです。

カバーやシーツの生地でよく使われているのは、186本とか200本といったブロードの生地です。


へぇ~。
インチと言えばパソコンのハードディスクを思い浮かべるけど、生地業界もインチが指標なんだね。

1インチ=2.54cmってことは、ちょっと大きめにカットした味噌汁のお豆腐くらいよね。


お味噌汁のお豆腐にしては大きいですね(笑)。

当店で扱っている200本ブロード生地は、1インチ四方に、ヨコ糸70本+タテ糸130本が使われています。


200本ブロード生地


ブロード200本ブロード生地のカラープラス・シリーズのカバーとシーツ
ブロード200本ブロード生地の国産白カバー



打ち込み本数によって、しっかりした生地なのか、ペラペラした生地なのか、おおよそ見当が付きます。

もし手芸屋さんで打ち込み本数が書いてあったら、透け感を比較してみると面白いかも知れません。


なるほど~。
そう言えば、手芸屋さんで数字が書いてあった気がする。
密度を表す打ち込み本数だったのかも知れないな。


知らないと、意味が分からないですよね。

それから、数字と言えばもう一つ。
糸の太さを表す数字もあります。
「○○番手」と言います。

数字が大きいと、細い糸になります。

当店の200本ブロード生地は、40番手の糸を使っています。

糸の太さも、柔らかさや光沢といった生地の表情に大きく影響してきます。


あ、生地質に関係する要素の図にも、「糸」って書いてあったね!


はい、そうです。そのうち、糸の話もしましょう。

今回は、平織のブロードについてお話しました。
ちょっと長くなってしまったので、サテンについては、次回にしましょう。


あれ~、次回ですか~、サテンのパジャマの話が気にある~(笑)。

またよろしくお願いしまーす。



豆知識生地のお話#1
豆知識生地のお話#3

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